かんがえごとの垂れ流し

主に諸々の感想

2015年6月読み終わった本

やがてヒトが与えられた時が満ちて…

池澤夏樹

テーマ
人工衛星都市に住む主人公を通して、人類の行き着く先のひとつを描く
ポイント
主人公のみょうに冷静な視点による淡々とした描写が面白い。ラストはすっきりしない。謎は解かれぬままのため。自分で思弁すべきなのだろう。

はてしない物語

ミヒャエル・エンデ

テーマ
ファンタージエンの世界に入ったバスチアンの変化
ポイント
前半は、救い主バスチアンを求めるアトレーユの物語、後半は、アトレーユに救われるバスチアンの物語となっている。小さい頃、辛い現実から逃れて物語にのめり込んだ自分の姿を久方ぶりに思い出した気がします。

バスカヴィル家の犬

コナン・ドイル

テーマ
シャーロック・ホームズがバスカヴィル家に伝わる恐ろしい伝承と殺人事件の謎を解く
ポイント
世間の評価はミステリの中でも傑作とのことだが、個人的にはそこまで感じなかった。舞台の描写が緻密。

インフェルノ

ダン・ブラウン

テーマ
生物学者の亡霊に命を狙われる象形学者
ポイント
あっと驚く展開がある。ただ、追い求めているものの正体は途中で予測が付いてしまった。シンスキーの心中が一番気になる。

プリマ・テイストのラクサラーメンがかなり美味しい

突然食べ物の話をします。

なぜなら、KALDIで衝撃的な出会いをしたからです。

会社近くのシンガポール料理屋でラクサという料理を初めて食べて、ものすごく気に入っています。

シンガポールあたりの麺料理で、エビのエキスとココナッツミルクの風味のする辛めスープ。

その料理屋さんでしか食べてなかったのですが、もっと気軽に食べたいと常々思っていたところ、カルディで偶然発見!

その名も、プリマ・テイスト シンガポール ラクサラーメン。

300円程度でラクサが食べられる!とあっては早速買うしかない。

そして、お家で開封。

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すると、ペーストとプリミックスという二つの袋と、白い太麺が出てきました。

作り方は簡単。

お水を入れて、ペーストを入れ、次にプリミックス(ココナッツミルクの粉末)を入れよくかき混ぜ、火にかけて沸騰したら麺を投入して7分煮て完成。

具はついてないので、お好みで。
説明書によると、調理済みの海老などの魚介類、鶏肉、もやし、油揚げがお勧めみたいです。

うちにはトマトしかなかったので、トマトを添えました。(相性は悪くはありません。)

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そして、一口スープを口に含んで、電撃が走りました。

正直、シンガポール料理屋さんで出されるものより2-3段上のレベルの味がするのです!

880円も出して、いままで、出汁もろくに出ておらず、ココナッツミルクの味もおまけ程度のものを食べていたとは!

今後、ラクサはこのラクサラーメンしか食べなくても良いと本気で思うほどの美味しさでした。

アジアンフード好きな方は、ぜひ、お試しあれ。

2015年5月読み終わった本

東亰異聞

小野不由美

テーマ
幻想的な和のミステリ
ポイント
明治の"東亰"を舞台に闇御前や火炎魔人による連続殺人が発生、事件を追う記者は鷹司家家督騒動に行き当たるが、その最後には思いも掛けない幕切れが待っている。

インフェルノ

ダン・ブラウン

テーマ
生物学者の亡霊に命を狙われる象形学者
ポイント
美術品とダンテをモチーフに人口爆発問題を論じている。下巻の結末が楽しみ。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

ディック

テーマ
アンドロイド狩り
ポイント
本作におけるアンドロイドと人間の違い、動物と電気動物の違いとはなんぞや?

2015年4月読み終わった本

仙丹の契り

仁木英之

テーマ
僕僕先生シリーズ最新作
ポイント
吐蕃国の跡継ぎをめぐる騒動に巻き込まれる王弁と僕僕先生がついに交わった?

まほろ駅前多田便利軒

三浦しをん

要約
過去に重荷を負う主人公男性が、高校の同級生と再会して一緒に便利屋を営む一年を描く
ポイント
まほろ駅という町田駅をモデルにしていると思われる街の人々との交流が生き生きと描かれている部分が楽しい。過去の重荷をここまでサラッと書く文体が素晴らしい。

僕僕先生 零

仁木英之

テーマ
僕僕先生シリーズの過去編
ポイント
僕僕先生が生まれたばかりの頃の話。黄帝と炎帝の時代に、拠比と僕僕先生コンビの旅物語。

フェルメールの眼

赤瀬川原平

テーマ
フェルメール全作品の掲載とコメント
ポイント
フェルメール全作品が掲載されている。コメント文が解説というより小説のようで読み応えある上に、知らなかった視点を得られる。作品によっては注目したい部分をカットアウトして掲載。じっくり観られる。

ルーブル美術館展の感想

ルーブル美術館展-日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄』を見に国立新美術館に行ってきました。

前売でチケットを用意していたのと、入口に行列もなかったので、一度も並ばず入場できました。

ガイドには、コナン?が案内してくれるジュニア向けもあり、迷いましたが、一般向けにしました。

今回の展示数はコンパクトでまとまっているので回りやすかったです。

気になった作品をピックアップします。

◎8 キリストのエルサレム入城

最初に気にかかったのは聖書の一場面。
たしか、キリストがエルサレムに入城したときは、ロバに乗っており、沿道の民が棕櫚の葉を敷いてたはずなのですが、ロバはかいてあっても、棕櫚の葉がかいてなかったので、おかしいなと思いました。なんか理由があるのか、私の記憶間違いか。

◎12 農民の食事

この絵は、大人が丸テーブルを囲んでいるのですが、子供も2人描かれています。この子供二人だけがなぜかカメラ目線なので、違和感を感じます。なにかを暗示しているのかな?と。

◎21 台所の情景(画像)

はい!本日一番のお気に入りの絵です。奥に窓があり、その向こうの明るい青い空、白い雲の光と、手前の台所の影の対比がたまりません。左上にかけられている鍋の質感も同上。鍋はちょっとフェルメールっぽい。
天気の良い午後昼下がりに、家事もひと段落したから休みながら縫い物でもするかーってな風情がよい。

◎31 神殿から追い出される商人たち

これも聖書の一場面。
ギャグです。これは。ギャグ。
なぜなら、キリストの背中に羽みたいなのが生えて浮いてるんです。
私の中で、聖書でのこの場面は、半沢直樹の大和田がデスクの上の備品を凪ぎ倒した勢いで露店をなぎ倒したと想像しているので(聖☆お兄さんの受け売り)、あまりのギャップに美術館で吹き出しそうになりました。

◎32 聖家族、または、指物師の家族

またキリスト教ですが、この展示は風俗画がテーマなので比較的少ない方?かなと。
この絵は、宗教画には珍しく、一般家庭の風景としてイエスの一家が描かれていたので印象に残りました。
レンブラントにしては、光と闇の差が控えめに感じますが、さすがというか、左奥から右手前に向けて、父ヨセフと母マリア、乳児キリストが光のライン上に配置されていて、よいバランス。マリアの母親(キリストの祖母)は黒づくめの影に徹させられています。

◎36 トランプ遊びに興じる少年たち

ぱっと見は惹かれなかったのですが、比較的年上の青年に混じってちびっ子が一人して、その子供だけがこっちを見ている。なんかデジャブだな、と思ったらピンときました。さっきも似たようなやつを見たな、と。絵のリストを遡って確認したら、12番農民の食事と同じル・ナン兄弟作の作品でした。ビンゴ。

◎38 天文学者(画像)

この展示のメインです。
以前ラファエロ展の大公の聖母では、30-40人の人だかりだったので覚悟していたら、立ち止まっていたのは、だいたい10人くらいのもんでした。
フェルメールは、2011年に渋谷文化村でやっていたフェルメール展にいったくらい好きです。そのときは、《天文学者》と対になっていると言われる《地理学者》が来ていました。
結論から言うと、私は《地理学者》のほうが好きです。
《地理学者》のほうが窓辺から降り注ぐ光が明るく、服も鮮やかで、男性の顔もくっきり描かれているのに対し、《天文学者》は、なんとなしに曇って見え、服も地味で、男性の顔にピントが合わさっておらず、天球儀のほうにピントがあっているのです。
おそらく、天と地の対照描写なのですかね?
前者の雰囲気のほうが好みです。

◎42 割れた水瓶

デュ=バリ夫人の愛蔵していた絵画だそう。
水瓶は女性の比喩、描かれているの女性の持っている水瓶が割れており、着衣が汚れ、飾りの花もぐちゃぐちゃになっていることから、なにがしかの教訓を暗示しているそうなのですが、単に描かれている女性の表情が絶妙で印象に残りました。

◎55 満月、鳥刺しのいる夜の風景

一目見たところでは、お昼の明るさとも思える色合いの空ですが、よくみると、満月の明かりで明るく見える風景の絵です。
全体的にふんわりとしたタッチで、草木以外特筆すべきものがない広いフィールドに月明かりがさし渡っている様子が、なんだかリラックスする絵でした。
さすが、ルーベンスはちゃうなと思いました。

◎56 象狩り

なんじゃこの物体は、と思ったら、象でした。当時、象も知られていたのですね。
特筆すべきは一点だけ、象の鼻に捕まってしまった人物が、おそらく胸筋の付き具合からして男性なのですが、顔がものすごい美人で女性のようで、いったいどちらなのか?!と私の脳内で物議を醸した点です。

◎60 嵐、または、ぬかるみにはまった荷車

荷車の幌の布でしょうか、山吹色の布が、雲の形のように風にはためいて影になった色の後ろに、嵐の前の突き抜けた空の青、雲の白が広がる対比がたまりません。
ちょっとばかし、風立ちぬの菜穂子が軽井沢の別荘で絵を描いている風景を思い浮かべました(そういえば風立ちぬでも突然の嵐がきてました)。

◎67 授乳する女性

この絵のポイントは、ずばり、テーブルの上にひかれているテーブルクロスが、ペルシャ絨毯のような模様に赤い布で、その書き込みが異様に細かく綺麗なところです。

◎81 ルーヴル宮グランド・ギャラリーの改修計画、1798年頃

出口の前の最後の一点は、ルーヴル美術館が自宅であると言われたユベール・ロベールの作品でした。
彼は、フランス革命に伴い、貴族相手の画家としての現役を引退せざるをえず、ルーヴル宮を美術館に作り変える事業に注力したとのこと。

彼は理想とするルーヴルの絵を多数書き残しており、今回の作品もその一つ。

天窓から降り注ぐ光、模写をする人物など、彼が考えたルーヴル姿は、現在に残っているそうです。

今回の作品で、ユベール・ロベールに興味を持って調べたら、廃墟の画家と呼ばれていたそうだ。その絵は、影の表現や、ほどよい書きこみ、絵本のような雰囲気でかなり好きな方の画家さんでした。2012年にあったというユベール・ロベール展を知らなかったことが悔やまれます。

こんな感じで、約2時間鑑賞して満足でした。もうちょいゆっくり見れたら良かったのですが、閉館時間が思ったよりも早くて、先調べておけば良かったです。

絵葉書は買うと切りが無いので、いつも2-3点に絞りますが、今回は
天文学者
・台所の情景
の2点を買いました。
次点は、ユベール・ロベールのルーヴル宮でした。

次は、去年いったばっかだけども、リニューアルしたという江戸東京博物館にめっちゃ行きたいです!!

あとは、根津の尾形光琳没後
300年展、Bunkamuraボッティチェリルネサンスあたりもよさそうです。

ちなみに国立新美術館ではマグリット展もやってました(不思議な絵の人です)。

GW明けの週末が狙い目ですかね。

2015年3月読みかけの本

シグナル&ノイズ

テーマ
ビッグデータの解析における人間の判断能力について
ポイント
ビッグデータには、シグナルのみならずノイズが含まれているところ、人間はノイズにもパターンを見出し、誤った判断をすることが思っている以上に多い

2015年3月読み終わった本

舟を編む

三浦しをん

テーマ
辞書作りの才能を見出された男が、新しい国語辞典を編纂するまでを描く
ポイント
辞書作りの過程を丁寧に追いながら、辞書編成の部署に関わる人々の人間関係を描きだす。文章がこぎれよく瑞々しい。