かんがえごとの垂れ流し

主に諸々の感想

映画「風立ちぬ」感想

ジブリ映画「風立ちぬ

やっと見ました。

一言で表すと「切なさ」が残る映画です。

私は、今までのジブリ映画の中で一番好きな映画となりました。
物語のテンポはゆったりしているし、お話はややこしくない。そして一貫性があり、風景も人も音も美しい。

そして、とにかく切ないのです。

思い通りにいかない人生と、それが絡み合った人と人との縁の不可逆性のようなものを描いていると思います。

映画の中で、夢という言葉が何回も出て来ますが、実は夢もへったくれもない現実を突きつけるお話です。

時折挟まる二郎の夢の草花広がるシーンで誤魔化されているだけです。

例えば、自分の好きなものに熱中したければ、犠牲も伴うこと。それは菜穂子への配慮だったり、国民だったり、二郎自身の社交性だったりです。

死の病には抗えないこと(当時の結核は現在の膵臓がんのような治りにくい病でしょう)。

皆が手放しで祝福してくれる結婚の幸運さ。

好きになった二人の人生を重ね合わせて過ごせることは、実は、とても困難なことであること。

戦争が需要を生み、お金を吐き出し、技術を向上させること。

挙げたら切りがありません。

目を背けたいことばかり。

二郎は現実世界への認識が薄いです。白いもやを通して世界を見ている感があります。
嫌な現実を知りながらも、あえて、そうは感じさせない態度で生きています。
なので、菜穂子の病が死の病と知っていながらも(知らなかったわけありません)、どこか、能天気に見えますし、ゼロ戦が一機も帰ってこなかったと、戦争に対する罪悪感が感じられないセリフを言うのだと思います。こんな人、普通はいません。
正に浮世離れしています。
何か辛い過去でもあるのでしょうか(解離のような)。そういえば大人になってから母親の描写がなかった気がするので、母親を早く亡くしているのかもしれません。(そう考えると、妹の妙なしっかり具合も納得できます)。


話が逸れましたので戻して結論を述ぺます。
このような、残酷とも言える現実を非現実的な二人を通じて美しく描いている。だからこそ、そのギャップに切なさを感じさせる映画といえます。
二郎の鈍感な視点から描かれているために、残酷さがより浮き彫りになっている。

あと、美しいものを作り上げたのだからよいのだという開き直りを、ちょっぴり感じます。
ですから、二郎は自分の夢で、菜穂子を通じて許しの言葉を自分に与えるのだろうかと思います。(もちろん、それは、菜穂子が二郎に罪悪感を与えないよう、美しい時間のみを二郎に残しているからこそです。これもまた切ないです)

唐突ですが、何かに取り憑かれた人は妖しい魅力がありますね。
そして、変え難い事実を受け入れ、覚悟を決めた潔い人にも。

なぜか、美空ひばりさんの歌「愛燦燦」を思い出しました。

好きです。「風立ちぬ」。何度も見返したい映画です。

2014年12月読み終わった本(追記)

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