かんがえごとの垂れ流し

主に諸々の感想

ルーブル美術館展の感想

ルーブル美術館展-日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄』を見に国立新美術館に行ってきました。

前売でチケットを用意していたのと、入口に行列もなかったので、一度も並ばず入場できました。

ガイドには、コナン?が案内してくれるジュニア向けもあり、迷いましたが、一般向けにしました。

今回の展示数はコンパクトでまとまっているので回りやすかったです。

気になった作品をピックアップします。

◎8 キリストのエルサレム入城

最初に気にかかったのは聖書の一場面。
たしか、キリストがエルサレムに入城したときは、ロバに乗っており、沿道の民が棕櫚の葉を敷いてたはずなのですが、ロバはかいてあっても、棕櫚の葉がかいてなかったので、おかしいなと思いました。なんか理由があるのか、私の記憶間違いか。

◎12 農民の食事

この絵は、大人が丸テーブルを囲んでいるのですが、子供も2人描かれています。この子供二人だけがなぜかカメラ目線なので、違和感を感じます。なにかを暗示しているのかな?と。

◎21 台所の情景(画像)

はい!本日一番のお気に入りの絵です。奥に窓があり、その向こうの明るい青い空、白い雲の光と、手前の台所の影の対比がたまりません。左上にかけられている鍋の質感も同上。鍋はちょっとフェルメールっぽい。
天気の良い午後昼下がりに、家事もひと段落したから休みながら縫い物でもするかーってな風情がよい。

◎31 神殿から追い出される商人たち

これも聖書の一場面。
ギャグです。これは。ギャグ。
なぜなら、キリストの背中に羽みたいなのが生えて浮いてるんです。
私の中で、聖書でのこの場面は、半沢直樹の大和田がデスクの上の備品を凪ぎ倒した勢いで露店をなぎ倒したと想像しているので(聖☆お兄さんの受け売り)、あまりのギャップに美術館で吹き出しそうになりました。

◎32 聖家族、または、指物師の家族

またキリスト教ですが、この展示は風俗画がテーマなので比較的少ない方?かなと。
この絵は、宗教画には珍しく、一般家庭の風景としてイエスの一家が描かれていたので印象に残りました。
レンブラントにしては、光と闇の差が控えめに感じますが、さすがというか、左奥から右手前に向けて、父ヨセフと母マリア、乳児キリストが光のライン上に配置されていて、よいバランス。マリアの母親(キリストの祖母)は黒づくめの影に徹させられています。

◎36 トランプ遊びに興じる少年たち

ぱっと見は惹かれなかったのですが、比較的年上の青年に混じってちびっ子が一人して、その子供だけがこっちを見ている。なんかデジャブだな、と思ったらピンときました。さっきも似たようなやつを見たな、と。絵のリストを遡って確認したら、12番農民の食事と同じル・ナン兄弟作の作品でした。ビンゴ。

◎38 天文学者(画像)

この展示のメインです。
以前ラファエロ展の大公の聖母では、30-40人の人だかりだったので覚悟していたら、立ち止まっていたのは、だいたい10人くらいのもんでした。
フェルメールは、2011年に渋谷文化村でやっていたフェルメール展にいったくらい好きです。そのときは、《天文学者》と対になっていると言われる《地理学者》が来ていました。
結論から言うと、私は《地理学者》のほうが好きです。
《地理学者》のほうが窓辺から降り注ぐ光が明るく、服も鮮やかで、男性の顔もくっきり描かれているのに対し、《天文学者》は、なんとなしに曇って見え、服も地味で、男性の顔にピントが合わさっておらず、天球儀のほうにピントがあっているのです。
おそらく、天と地の対照描写なのですかね?
前者の雰囲気のほうが好みです。

◎42 割れた水瓶

デュ=バリ夫人の愛蔵していた絵画だそう。
水瓶は女性の比喩、描かれているの女性の持っている水瓶が割れており、着衣が汚れ、飾りの花もぐちゃぐちゃになっていることから、なにがしかの教訓を暗示しているそうなのですが、単に描かれている女性の表情が絶妙で印象に残りました。

◎55 満月、鳥刺しのいる夜の風景

一目見たところでは、お昼の明るさとも思える色合いの空ですが、よくみると、満月の明かりで明るく見える風景の絵です。
全体的にふんわりとしたタッチで、草木以外特筆すべきものがない広いフィールドに月明かりがさし渡っている様子が、なんだかリラックスする絵でした。
さすが、ルーベンスはちゃうなと思いました。

◎56 象狩り

なんじゃこの物体は、と思ったら、象でした。当時、象も知られていたのですね。
特筆すべきは一点だけ、象の鼻に捕まってしまった人物が、おそらく胸筋の付き具合からして男性なのですが、顔がものすごい美人で女性のようで、いったいどちらなのか?!と私の脳内で物議を醸した点です。

◎60 嵐、または、ぬかるみにはまった荷車

荷車の幌の布でしょうか、山吹色の布が、雲の形のように風にはためいて影になった色の後ろに、嵐の前の突き抜けた空の青、雲の白が広がる対比がたまりません。
ちょっとばかし、風立ちぬの菜穂子が軽井沢の別荘で絵を描いている風景を思い浮かべました(そういえば風立ちぬでも突然の嵐がきてました)。

◎67 授乳する女性

この絵のポイントは、ずばり、テーブルの上にひかれているテーブルクロスが、ペルシャ絨毯のような模様に赤い布で、その書き込みが異様に細かく綺麗なところです。

◎81 ルーヴル宮グランド・ギャラリーの改修計画、1798年頃

出口の前の最後の一点は、ルーヴル美術館が自宅であると言われたユベール・ロベールの作品でした。
彼は、フランス革命に伴い、貴族相手の画家としての現役を引退せざるをえず、ルーヴル宮を美術館に作り変える事業に注力したとのこと。

彼は理想とするルーヴルの絵を多数書き残しており、今回の作品もその一つ。

天窓から降り注ぐ光、模写をする人物など、彼が考えたルーヴル姿は、現在に残っているそうです。

今回の作品で、ユベール・ロベールに興味を持って調べたら、廃墟の画家と呼ばれていたそうだ。その絵は、影の表現や、ほどよい書きこみ、絵本のような雰囲気でかなり好きな方の画家さんでした。2012年にあったというユベール・ロベール展を知らなかったことが悔やまれます。

こんな感じで、約2時間鑑賞して満足でした。もうちょいゆっくり見れたら良かったのですが、閉館時間が思ったよりも早くて、先調べておけば良かったです。

絵葉書は買うと切りが無いので、いつも2-3点に絞りますが、今回は
天文学者
・台所の情景
の2点を買いました。
次点は、ユベール・ロベールのルーヴル宮でした。

次は、去年いったばっかだけども、リニューアルしたという江戸東京博物館にめっちゃ行きたいです!!

あとは、根津の尾形光琳没後
300年展、Bunkamuraボッティチェリルネサンスあたりもよさそうです。

ちなみに国立新美術館ではマグリット展もやってました(不思議な絵の人です)。

GW明けの週末が狙い目ですかね。